”優秀で頼りになるメンバー”に気を付ける
Asian Identityの藤岡です。
先日、ある企業の経営幹部向けの研修を実施しました。
今回はその研修での出来事について共有させてください。
この研修ではチームとしての協業について振り返りをするためのアクティビティを実施しました。
これはリーダー役とメンバー役に分かれ、ある課題をリーダーの指示を聞きながら達成をしていくというものでした。
さて、この研修には7名の方にご参加いただいておりましたが、その中でも一人年齢及び経験の面で、他の幹部よりも抜きん出ているWさんという方がいらっしゃいました。
他の幹部からは一目置かれており、当然このアクティビティでもリーダー役として真っ先に推されていました。
ただ今回は進行役のファシリテーターがあえて学びを深めるために、Wさん以外の方にリーダー役をお願いし、Wさんにはメンバー役として参加していただきました。
実際にアクティビティが始まってみると、Wさんの活躍はとても素晴らしいものでした。
ここで細かくアクティビティの内容をお伝えすることはしませんが、アクティビティの中でもWさんは終始メンバー役でありながらも、ただリーダーの指示を聞くのみではなく、自分からアイデアを提案したり、他のメンバー役の人をサポートしたりと、積極的に様々なアクションを取られており、その姿に他の参加者は勿論のこと、我々ファシリテーター陣も感心をしていました。
アクティビティが終わり、振り返りに移った時のことです。
前述のWさんは「メンバー役ではあったが、自分なりにリーダーをサポートできるようにできることをした。またアクティビティの途中(体を動かしながら実施をするアクティビティだったので)体が疲れて大変なこともあったが何とか頑張った。」とシェアをされました。
その時、それを聞いたリーダー役の方が、印象的なコメントをされました。
それは「Wさん、とても助かりました。あと、Wさん、大変だったんですね…」というものです。
普段からリーダー経験も豊富で、リーダーの考え方や大切にしたいことを理解しているWさんは、「アクティビティの目標達成」というゴールに向かい懸命に指示を出すリーダー役の人の考えやアクションを機敏に察知し、それを懸命にサポートしていましたが、その一方で、自身の困難は、リーダーの手を煩わせることなく自分の能力で何とかし続けていたのです。
そしてリーダー役の人はその”優秀で頼りになるメンバーWさん”の困難には全く気が付いていませんでした。
ともすると”リーダーの意図を汲んでくれて、言わなくてもやってくれる、自分から様々なことをしてくれる優秀で頼りになるメンバー”は、組織の優先順位が分かっているからこそ自分自身の課題をリーダーの手を煩わせることなく自分で何とかしてしまう、且つ何とか出来てしまう、ということではないでしょうか。
ただ、いくら優秀な人間であっても、人間です。
どこかで無理が来ますし、限界もあります。
前述の例では、もしあのままアクティビティが続いていた場合、Wさんの身体的疲労はさらに蓄積されていったでしょう。
さて、翻って皆様の組織・チームではどうでしょうか。
”優秀で頼りになるメンバー”はいますでしょうか?
もしいるとすると、その方の裏にはどのような「自分で何とかしている苦労」がありそうですか?