「双方向」と「聞く」ことの重要性
2023年の4月にAsian Identityに入社した吉田です。
はじめての投稿となりますが今回はいくつかの弊社のワークショップ運営の中で感じたことをシェアしたいと思います。
入社後いくつかのワークショップを運営していますが、リーダー向けコミュニケーション研修が非常に印象に残っています。マネージャーやリーダーといったマネジメントをする立場にとって、情報共有や対話を通してメンバーと認識合わせを行いよりスムーズに仕事ができる事をサポートするスキルがいかに大事かを毎回痛感します。
なぜなら、相手にあわせたコミュニケーションをとっていればチーム内に信頼関係が生まれ、組織の一体感に繋がるからです。
逆にコミュニケーションが取れていないと、仕事の目的が見づらかったり部下への指示が不明確といった理由で、業務成果もメンバーのモチベーションも下がってしまう事が考えられます。
弊社研修を通した参加者の振り返りをみていると、以下の3つの観点について自身の改善点として挙げていたり、これから取り組みをしていきたいと宣言している方が多かったように思います。
「信頼される」:自分自身の言葉で伝える事、判断を先延ばしにせずに決断すること
「見える化する」:会社や事業全体とチームの目標と現状の共有、マネージャー自身が何に取り組んでいるかの共有
「聞く」:質問できる雰囲気、会議中の発言の機会の提供、双方向のやりとり(話すだけではない)
研修を通して「聞く」ことの大事さについて実感しているため、私が過去に体験したあるエピソードを話そうと思います。
私の学生時代にこんな経験がありました。
私は学生時代あるスポーツの部活動に所属していました。
冬期の練習テーマとして、元プロ選手が提唱する理論を適用して練習することがアナウンスされ、全部員がそれに沿った方法で毎日の練習で取り組んでいました。
全部員共通のテーマをもって冬季練習に取り組んでいたある日、
かつて地域の有名校で長年監督を勤めた指導者がいらっしゃり臨時指導をする機会が数回程ありました。
地域では名のしれた指導者で数々のチームの監督を歴任され、地域の現役指導者にリスペクトされている方です。
彼はグランドに来て早々に自己紹介をすると、早速部員を観察し技術指導を行いながらグランドを回っていました。
部員の受け止め方は様々で積極的に教えを請う部員や、監督の指導方法との違いに戸惑っている部員、臨時コーチを避ける部員や、急に来てダメ出しをされた事に大して不満な部員がいました。
冷静に振り返ってみると、結局のところ臨時コーチの指導を活かした人はいなかったように思います。
この機会を生かせなかった原因は何だったのか。何が必要だったのかを今でも時折思い出して考えることがあります。
そもそもこのコーチの指導がこのチームに必要であったのか。次に監督と臨時コーチ間の現在のチーム取組状況のおよび指導理論の事前確認。
加えて本人の意思を確認した上での指導対象者の事前選定や、監督と部員間の事前の認識合わせといった作業も必要だったかもしれません。
この件から学べることとしてコミュニケーションの重要性の他にもう一つ付け加えるならば、理論というものは一貫しているため、他のセオリーから良い点を取り入れて一時的に好感触が生まれても、マネジメントが上手く行かない場合もあると思います。
これらは企業の組織の問題にもあてはまるかもしれません。
例えば日本からタイの現地法人に赴任した海外勤務者がいるとします。赴任早々に個々人の業務状況や取組状況の把握もままらないまま、前任者と異なる指導や改善を行おうとして失敗するケースも少なくありません。どれだけ組織・社員をより良く成長させたいという熱い気持ちを持っていても、まだ相手が身構えてしまい通じない事もあるかもしれないと思います。
リーダーのコミュニケーションとして、双方向のコミュニケーションを意識し相手が求めるものを理解する心構えは、企業のみならずどのような組織にも共通すると思いました。
Credit: Photo by K’LeAnn Fayth Morgan from Pexels