AI NEWSLETTER Vol.45
FEB , 2021
AIニュースレター、45号です。
これを読んでいるビジネスパーソン、特にマネージャーの立場にある方は、何かしらの「成果」を求められているはずです。散発的な成果を上げることはそれほど難しくないですが、本当に優秀なマネージャーは、「いつでも」「どんな組織を任されても」「継続的に」成果を出すことが出来ます。その差はどういうところにあるのでしょうか?
私は、それらのマネージャーには共通点があると思っています。今回は、「マネージャーとして、継続的に成果を挙げるためにはどうしたらいいか」について、5つのステージに分けて書いてみます。
「継続的に成果を挙げる」マネージャーになるための5つのステージ
ステージ1:組織の業務量とチームのリソース状況を把握する
最初に、当たり前のようで意外と出来ていないのが、現状把握です。まずは整理のために、以下について一旦考えてみましょう。
• 今、私の組織には全体としてどの程度のボリュームの仕事があるのか?
• 一方で、いま組織にいるメンバーはそれぞれどのようなモチベーション、能力を持 っているのか?
• 上記2つを見比べた時に、「仕事量」と「チーム能力」はバランスしているか?能力に対して仕事量が正しくアサインされているか?
このような分析をしてみると、まずは自分のチームの現在の戦い方が正しいかどうかに気づくことが出来ます。
ミッションに対して明らかにリソースが足りていない場合、それは勝ち目の薄い戦いになって疲弊してしまいます。ミッションに優先順位を付けたり、リソースの補充を検討したり、というのが正しいアクションになります。
逆にリソースはある程度足りているように見えるのであれば、アサインが間違っている可能性があります。能力のある人のリソースが余っていないか?能力不足の人に過大なミッションが与えられていないか?などのチェックが必要です。
また、よく若手~中堅のマネージャーがやりがちなミスは、「自分が手を出しすぎてしまう」ことです。「自分が一番忙しくしていて、メンバーの時間が余っている」と言うことは起きていないでしょうか。そうした場合は、自分が持っている仕事を、メンバーにもっと手渡していく必要があります。
ステージ2:できる手をすべて使って、最低限の成果を上げる
いきなりハードルを上げるようですが、「成果なくして成長なし」と言います。うまく行っていない組織は多くの場合、成果も出ていないと言うことが多いです。逆に、成果は出ているがチームの状態が悪い、というのはあまり聞いたがありません。
成果と組織成長の関係性は「鶏と卵」のような関係です。
能力も無いのに成果が出るわけがないという見方もありますが、一方で、スポーツチームが「勝つ」ことを経験することで自信を付けて急に強くなることがあるように、ビジネスにおいても「成果を出す」ことが自信を作り、社員が成長していくということが実際に起こります。
なので、もしなかなか成果が出ていない状況が続いていると思ったら、「とにかく、最低限の成果を作りに行く」というのは大切なことです。
そのために、自らがプレイヤー化して先頭に立って成果を作りに行く、ということがあっても良いと思います。
ステージ3:部下のモチベーションのケアに注力し、人が辞めない組織を作る
さて、最低限の成果を作りながら、「人が辞めない」組織への転換を図っていきましょう。
せっかく育てたメンバーが「離職」してしまうと、組織は大きく後退してしまいます。また、離職はともするとチーム全体の士気を下げてしまい、場合によっては連鎖反応を起こしますので、余計に注意しておく必要があります。
そのために、このステージでは、どちらかというとモチベーションの低い層へのケアをしっかりと行うようにしましょう。
よく、「モチベーションを上げるためにどういう声掛けをしたら良いのか」と聞かれますが、モチベーションを上げるための基本的なアクションは「話す」よりも「聞く」ことです。
元気のない人がどのような悩みを抱えているのか、何に困っているのか、にじっくりと耳を傾けてみましょう。必ずしも全ての悩み事を解決してあげられるわけではないですが、「話を聞いてもらえる」と言うこと自体がモチベーションを高めるきっかけになります。
私自身の経験を思い出しても、「上司がわざわざ時間を割いて、自分のことを理解しようとしてくれた」ということ自体は、有難い出来事として印象に残っています。ぜひ、スマホやPCを閉じて、「全力で話を聞く」と言うことをまずはやってみてください。
(ちなみに離職のすべてが悪いわけではなく、組織の価値観に反する行いをする人は、積極的に辞めてもらうのも大事なことだということを付け加えておきます)
ステージ4:「絶対に自分でやらない」と決め、プレーヤーから脱却する
徐々に離職が減ってきたら、いよいよ「チームで成果を出す」ということに本気でチャレンジします。
シンプルに言うと、優秀なチームにおいては「マネージャーはヒマ」になります。あなたがまだ忙しいマネージャーであれば、まだまだチームで成果が挙げられているとはいえないかもしれません。
まず、メンバーを2つに分けます。
一つ目は、自分が助けなくてもタスクを遂行する能力があるスタッフがあるグループ。
このグループには、積極的に「任せて」いきます。「あなたは既に一定の能力があるから、どんどん自立的に進めてください。定期的な報告と、困った時にヘルプを求めてくれれば、OKです」と、方向性を明確に伝えます。
ついつい手を出してしまいたくなると思いますが、「この人は出来るはず」と信じて任せる、と言うことを自分に言い聞かせましょう。
そうすることで彼らは自律的に動きます。また、マネージャーの仕事を一部渡していくなど、次世代マネージャーとしての期待を伝えていきましょう。
二つ目は、まだ十分にタスクを遂行できないグループ。彼らに対して必要なのは「人材育成」です。
あなたは、自分の仕事の何%の時間を育成に使っていると言えるでしょうか?「育成に時間を割いている」と言えるマネージャーは実は多くないかもしれません。最低でも、20%くらいの時間を、育成に割いていきましょう。
OJTで育成するケースが多いと思いますが、会議やアポイントのついでにフィードバックする、といったOJTなのか業務なのかわからないやり方は、ついつい実務の話に流れてしまうのであまり育成効果が得られないことがあります。
意図的に「育成のための時間」を部下と取りましょう。立派な研修を企画しなくても、部下からの質問に答える、自分のスキルをサマリーして伝える、などでも十分です。「育成に時間を割いている」という意思が伝わるのも大切なことです。
ステージ5:チームが自立的に動きだすという理想の状態
1~4までが実施できると、徐々にメンバーが自分で組織成果を出せるようになってきます。そうすると、組織が自律的に回るようになるため、マネージャーの仕事は無くなっていきます。そうなると、良い意味でマネージャーは「ヒマ」になってきます。
マネージャーは、特定の成果に関する数値・KPIのモニタリングと、定期会議での方針共有などの仕事に限定します。組織全体をウォッチししながら、モチベーションやスキルの穴がどこかに生まれていないかをチェックすることにシフトしましょう。
そして、もはやチーム全体をマネージするために、あなたのやるべきことはもうあまり無いかもしれません。エース社員に次世代マネージャーとして自分の仕事をどんどん任せながら、自分自身はより高い目線でものごとを捉え、会社全体や他部門にも意識を向けていきましょう。
この状態になったら、会社はあなたのことを放ってはおかないでしょう。次のミッションを任せたいと思っているはずですし、より大きな責任を担うステージが訪れます。
以上、5つのステージにわけてマネジメントの状態を説明してきました。皆さんのチームは、いまどのステージにあるでしょうか?ぜひ一度振り返ってみてください。
今回のニュースレターはこれで終わりです。お読みいただき有難うございました!今回のポイントは、弊社の「Manager Mindset & Action」というプログラムで学んでいただける内容です。ご興味ある方は、ぜひAsian Identityチームまでお問い合わせください。
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