「人は変わるのか」をタイでの出家の経験を踏まえて考えてみる
タイで組織・人事コンサルタントとして働いていますAsian Identityの藤岡です。
先日知人と食事をしていた際に「人は変わるのか」というテーマで話が盛り上がりました。このテーマは組織人事コンサルタントという職業のかなり根幹に関わってくるテーマなのですが、今回はこのテーマを僕がタイで出家していた時の話を交えつつ考えてみたいと思います。
なお、今回の記事でご紹介する仏教の教えはあくまで僕が出家期間中に様々な本や先輩僧侶の説法から理解した内容です。あらかじめご了承ください。
そもそもなぜタイで出家をしたのかですが、僕は大学時代にでタイ語およびタイ文化を専攻していたこともあり、現在はDiversity Management Workshopなどの異文化理解系の研修講師としてタイの文化について説明する機会があります。
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そして、その中でやはり切っても切り離せないのが「仏教」です。タイにおいてはやはり仏教が文化や考え方の様々な点で影響を与えています。そこで、より深くタイ文化のことを理解したいと思い昨年2018年の4月に約1か月間タイのお寺で出家をしてきました。
(ちなみに、出家したのちに俗世・普段の生活に戻ることを”還俗”といいます。僕の場合も出家をして1ヶ月が経った時点で還俗した、ということですね。)
さて、冒頭のテーマの「人は変わるか」ですが、これは僕個人としてもまた僕が学んだ仏教の教えとしても「変わる」という答えになります。
僕が出家中に何度も先輩僧侶に繰り返し教えられた(怒られた?)考え方に、”諸行無常=すべてのものは常に移り変わる” というものがあります。そこに照らし合わせると、むしろ変わらないということがあり得ない、というくらいの認識です。
ちなみに、この概念を本当に実感として理解し意識するのは実は難しいです。
僕が出家中に先輩僧侶に叱られた話があります。家族、特に親について話をしていた時のことでしたが、「親は子供が独り立ちしてからも心配なものだから毎日少しでも電話してあげるとよい」ということをおっしゃった先輩僧侶の方に、僕は「考え方としてはそうかもしれないが実際にするのは難しいですね」という返事をしました。すると、「それはすべてのものは変わっていくということを理解していなからだ」と叱られました。
「すべてのものは移り変わる、つまり明日両親がまだ無事に生きている保証もないし、お前自身も明日どうなっているかもわからない。もし今日が話せる最後のタイミングだとしても難しいと言って電話をしないと思うか?」
この言葉には個人的に納得し、還俗後今も(ほぼ)毎日実家には電話をするようにしています。
少し話はそれましたが、それくらい実際のところすべてのものは常に変わり続けていくものだと思いますし、それはもちろんどのような人についても然りです。なので、前提として僕は人は「変わる」と考えています。
ただ、部下やチームメンバーの育成に携わるリーダーやマネージャーにとってのポイント、あるいは悩みの種は人が ”どのように変わるか” を他人が100%コントロールすることはできないという点かと思います。
そして、この点に関して僕は ”結果としてどのように変わるかは誰にもコントロールできないが、それでもその人のためを思う善い意図をもってその人に接すること” しかないと思っています。
僕が出家中に教わったまた別の教えとしては”因果応報=善い行いからは良い結果、悪い行いからは悪い結果が生まれる”というものがありました。
実際のところ常に善い行いがすぐに良い結果に結び付くことばかりではないでしょう。ただし、特にこと人材育成においては、「それでも最後にはその人のためを思う善い意図のもとの行いは良い結果につながる」と信じて真摯に人と関わっていくことが求められるのではないでしょうか。
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