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タイ人従業員を“やる気”にするポイントは「給与」と「アサイン」!(その①)

18 6月.2025

こんにちは。シニアコンサルタントの山内です。

皆さんは、タイ人従業員の方々にどのように“やる気”を出してもらうか、お悩みではないでしょうか?私たちのお客様からも、そのような話をお聞きすることがよくあります。例えば、以下のようなケースです。

 

・自分の業務範囲のことだけをやればいい、という意識があり、主体的に問題を解決しようとしてくれない…

・離職者が多く、その理由を聞くと「他社からより高額の給与オファーがあった」と言われた…

・社員旅行や全社イベントなど、業務外で見せる積極性を通常業務中にも発揮してほしいのだが…

 

タイ人の方々にもっと“やる気”を出してもらい、組織としての成果に繋げていくためにはどのような対策が効果的なのでしょうか?

ポイントは、「給与水準の適正化」と「効果的な業務アサインメント」の2つだと考えています。

 

伝統的な経済学の理論では、従業員がパフォーマンスを最大化するために必要なのは「金銭的インセンティブ」です。そして、タイ人の多くも、労働の対価としての給与レベル、特に「月額基本給」を気にする傾向があります。人事評価後に、自分の昇給率を他の人と情報交換したり、同じ工業団地内の他社工場の給与と自社の給与水準を比較してみたりと、“お金”に関する情報は隠したがる日本人とは真逆の感覚を持っているとも言えます。

 

お金に対する情報のオープン度の違いについて、国民性や経済的な背景の違いに起因する部分はあるかもしれませんが、大切なのはその「違い」を受け入れ、どのように上手くマネジメントしていくか、ということだと思います。

 

多くの日本企業では人事制度として「等級制度」が導入され、新卒一括・総合職採用をベースに、新人から徐々に社内で仕事の経験を積み、階段(昇級・昇格)を一つずつ上がっていくということが一般的です。つまり、同じ「等級」に所属している従業員は、基本的に同じレベルの給与(下限・上限のある給与バンド)が適用されるということになります。したがって、社内的には「あの人は〇〇等級だから、だいたいこれくらい貰っているのかな」といった予想を立てることが可能です。また、対外的にも就活・転職サイトなどで「この会社の30代平均給与」といった情報が開示されていますので、従業員側にとっては自分と他者の給与を比較することは難しくありません。

一方、企業側にとっても、前述のような内部昇進を前提とした人事制度と転職が頻繁に起きない労働市場の下で、わざわざ業界他社の給与水準と比較し、随時基本給を見直すというプロセスを取るインセンティブは低くなります。

 

しかし、タイにおいては状況が大きく異なります。従業員を惹きつけ・引き止め・やる気を出してもらうために、「自社と市場の給与水準を比較し、適正なレベルに見直す」という定期的な給与診断の実施が重要になってきます。

近年、タイ拠点において人事制度を改訂・刷新した、あるいはそうしたいというクライアントさんが増えてきています。その中で給与テーブルの見直しもされているところがほとんどだと思いますが、給与テーブルに関しては一度決めたら完了、というものではなく、特にタイのように人材の流動性が高く経済の発展スピードも速い環境では、毎年の給与水準診断と、必要に応じ3~5年程度でのテーブル改訂が必要になります。

 

以上、本ブログでは「給与」についてお話ししてきました。

タイ人の“やる気”を引き出す2つ目のポイントである「業務アサイン」に関して、次回ブログにて解説させていただきます。

Credit: Photo by  Anna Tarazevich from Pexels