アジアに産む人事の成長

リモートワークとオフィスワークはそれぞれが「選択肢」である

1月末まで家族と過ごすために日本に滞在していますが、その間は千葉の自宅からタイの仕事をリモートワークで対応しています。

幸い、私の仕事であるマネジメント、コンサルティングや研修ファシリテーションの多くはリモートでできますので、クライアントのご理解もあり、こういう勤務形態が取れています。便利な時代になったなぁと思います。

社会的なロックダウンを余儀なくされる中で、リモートワークという手段が社会にあったというのは幸運なことだと思います。(インターネットの無い時代にコロナが起きていたらと思うとぞっとします。。)

一方で、私は必ずしもリモートワーク礼賛派ではありません。コミュニケーションの効率や組織運営の効率は普通はかなり落ちます。研修やコンサルティングのバリューもやり方を工夫しないと落ちてしまうので、アウトプット当たりの時間と労力はかなり上げて対応せざるを得ません。なので、積極的に全ての業務をリモートでやりたいとは思いません。

あくまでリモートワークは、「リモートワークを選択したい人」が、選びたい時に選べる選択肢であるべきというのが私のスタンスです。

リモートワークで救われる人生がある

どういう人にとってリモートワークというのは素晴らしい選択肢であるのか。やはりまず思いつくのは小さなお子さんがいたり、家族の介護をしたりする必要性から、家族のために自宅に居たい人達でしょう。

私も、10年くらい前のまだ子供が小さい頃、リモートワークが出来たらどんなに良かっただろうか、と思います。

あの頃は妻の体調が悪い時期もあったので、毎日「今日もなるべく早く帰ってくるからね」と言って自宅を出ていました。ときどき国内出張などもありましたが、1分でも早く家に帰りたい、と思いながら出張していた日もありました。

そのころはリモートという勤務形態が今ほどはまだ一般的ではありませんでしたし、オンラインMTGへの社会的な許容度も今ほど高くなかったので仕方がないのですが、当時の自分がフルリモートの勤務形態を許されていたら、どれほど幸福度や安心感が得られていただろうか、と思います。

恐らく、心の底から会社に感謝していたでしょう。「この会社のために頑張りたい、ずっと勤め続けたい」と強いロイヤリティを感じていたでしょう。それくらい、「自分のライフスタイルに合った勤務形態を提供されるということは、その人の心を大きく満たすもの」であると思います。

その後私は会社を経営する側になりましたが、こうした従業員の気持ちを忘れてはいけないと今でも思います。

「オフィスに来て働きたい」というのも大切なニーズである

一方で、「オフィスに来て働きたい」という人がたくさんいることも忘れてはならないと思います。

タイにいる私のスタッフで「家に居ると親やペットがいて集中できない。仕方なく近くのカフェに行くが長居もできない。だからオフィスに行かせてほしい」と言ってくれる社員がいます。

「今はリモートワークは政府の要請なので、出勤日数を限定しようね」と言わざるを得ないですが、それぞれの家の住居環境、家族の状況次第で、こういう声もあってもっともです。こういう人にとっては、逆に「オフィスに来れるという選択肢」をちゃんと提供してあげる必要があります。

私もリモートワークをしていますが、日本の家族と一緒に居られるメリットを感じる一方で、今の仮住まいの家は狭くて寒くて、家具なども整っていないので、パフォーマンスを出す環境には正直向いていません。こういう不便な状況に身を置いて改めて、「オフィスで仕事をする素晴らしさ」を実感しました。

また、家庭環境や住居環境だけでなく、働き方の好みやスタイルによってもニーズは異なるでしょう。

例えば、1人でもくもく作業したい人もいれば、仲間と雑談しながら働きたい人もいます。成果をあげるスタイルはそれぞれです。

人と話した方がパフォーマンスが上がる人は、オフィスに来て仕事をしてもらった方が成果が上がりますから、会社に来てもらう方が理にかなっています。そういう人のパフォーマンスを削ぐようなことは、会社にとって損失と言えるでしょう。

アフターコロナ時代に「選択肢」としてのリモートワークを

コロナの感染拡大を抑えるために、しばらくは社会全体でリモートワークに最大限取り組む必要があるのは言うまでもないです。

しかし、徐々に移動制限がなくなった後に、「フルリモートで仕事できたんだから、オフィスなんてもういらないでしょ」と振り切ってしまうのは行き過ぎの面もあるのもしれません。

従業員それぞれのニーズに対して「選択肢」としてリアルワークとリモートワークの両方を提供する。

せっかく得られたリモートワーク制度という資産を有効活用できるよう、そういった心構えでアフターコロナ時代に向けた準備しておきたいものです。

 

愛知県出身、上智大学外国語学部ドイツ語学科卒業。ネスレ日本、リンクアンドモチベーション、グロービスを経て、2014年に家族とともにタイに渡り、独立。「アジアに特化したHRコンサルティングファーム」として唯一の存在を目指し、メンバーとともに企業の人材開発、組織開発を支援している。モットーは「Appreciate the Similarity, Respect the Difference. (似ていることに感謝し、違いを尊敬する)」 株式会社人材研究所アドバイザー。 タイ人向けビジネス漫画「Su Su Pim! (頑張れピム!)」著者。

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